〇日 時 2026年4月22日(水) 午前10時~11時40分
〇開催方法 ZOOM
〇参加: 10名
👉東京大学高齢社会総合研究機構(IOG):2名
高瀬麻衣 特任研究員
後藤純 東海大学建築都市学部准教授
👉地域支え合い分科会:8名
〇本日の内容
後藤先生が作成した“住み続けられる住宅地を支えるコミュニティ戦略(たたき台)-大平山丸山
町内会での実践から見え たこと-”をベースに、議論をしたい。
1 基本認識
- 2017年度より、東京大学高齢社会総合研究機構との連携により、大平山丸山町内会に「まちづくり推進委員会」を発足し、地域支え合い・移動支援・子育て支援の3分科会で検討を進めてきた。
- 住民ワークショップやその後の9年にわたる実践を通じて見えてきたのは、地域課題について福祉・交通・子育てと縦割りで扱っていては解決しないということである。
- 老若男女問わず、愛着をもって住み続けられる住宅地は、現代的にどのように支えることができるかという視点から、住宅地の生活条件を総合的に整えることである。
- 郊外住宅地への公共・民間投資は限定的である。住民主体のまちづくりとして、進めていくことを前提としても、行政との協働が必要となる。本提言は、約9年間にわたる、住民実践をもとに、行政と協働したい点について、提言するものである。
【A、B、C、D各委員】鎌倉市における「郊外住宅地」(大平山丸山、梶原山、今泉台、西鎌倉、七里ガ浜など)の特徴を冒頭に入れると、鎌倉市内に共通する課題としてその後の内容がわかりやすくなる。
2 変わる郊外住宅地の暮らしの変化
- 鎌倉市において、緑豊かな住環境の維持管理は引き続き重要であり、大平山丸山地区も地区計画に取り組んでいる。
- 他方で、そのような郊外住宅地を支えてきた従来型の家族像やライフスタイルは変化しており、共働き世帯の増加、単身高齢世帯や高齢夫婦のみ世帯の増加、子育て世帯の新たな流入などを踏まえた住宅地のあり方が求められている。
- 特に老老夫婦世帯、単身高齢世帯や子育て世帯を念頭に、車が無くても移動しやすいこと、安全に歩けること、必要な時に頼れる人が身近にいること、そのためにも地域で緩やかにつながれることなどを含めて、住宅地の条件として考える必要がある。
【A委員】
「大平山丸山地区も地区計画に取り組んでいる。」との表現については、鎌倉市でも、町内会と連携した地区計画の指定は初めてであるので、「も」は、「は」にしてほしい。
👉 大平山丸山地区地区計画:oohirayamamaruyama.pdf
(参考)地区計画と住民協定(町内会URL)
3 地域支え合い分科会を通じてわかったこと
- 支え合い分科会では、アプリを開発し「オリーブシステム」を立ち上げ、コンシェルジュサービスを実施、担い手募集や草取りトライアルまで実施した。地域を支えたい住民は一定数いることが確認できた。
- しかし実際の運用では、住民互助により支えてほしい住民が現れない。その理由として、介護保険や家族で一定程度対応されていること、現代的な価値観では顔見知り程度では頼みにくいこと、近所の相互扶助には心理的ハードルがあることなどがわかる。
- 老老世帯、高齢独居世帯など「支えてほしい人」は増えているものの、住民同士での支え合いに期待する人は少なく、住民の互助の成立しにくさが分かった。
- たとえば、地域包括支援センター等と連携して軽度要介護者の利用を促してもらう(訪問型サービスB※)、まずはサロン・カフェ等による顔の見える関係づくりに取り組む、生活支援コーディネーターと連携していく、そのような活動を住民の志に委ねるのではなく事務局等を有する拠点として整備することなどが必要である。
※サービスB(通所・訪問):PowerPoint プレゼンテーション
【地域包括】「地域包括支援センター等と連携」 の部分については、これまでの連携の取組みにも触れてほしい。
【後藤先生】地域包括支援センターの取組みについては、①地元で試行錯誤して取り組んでいる、例えば「オリーブシステム」や「地域コンシェルジュ」などへのサポートなど、「地域マネージメント機能」が見えてこないこと、②市行政が、これらの取組みについて地域包括に任せきりになり、例えば、介護保険のサービスBをうまく活用するなどの知恵を出してこないこと、地域包括支援センターの財政的、人的体制強化の必要であること、などが問題意識としてある。
【C委員】地域包括の地域マネージメント的取り組みの一つとしては、「湘南鎌倉便り」での老人会(白扇会)の取組みの紹介記事でそれを感じた。他の老人会や地元住民からの照会も寄せられた。
【地域包括】「湘南鎌倉便り」では、特にこの3年、老人会など地域の取組みを積極的に取り上げており、住民の方々からの照会にも対応している。
4 移動支援分科会を通じてわかったこと
- 移動支援分科会は、運転免許返納後も高齢者が生活の質を維持できるよう、移動しやすい生活環境を整えることを目的に活動してきた。
- これまで、移動支援機器体験、歩行環境点検、アンケート・インタビュー調査、事例調査、勉強会、休憩用ベンチ設置、市との実証実験検討などを重ねてきた。
- その結果、丘陵住宅地の移動問題は単なる交通問題ではなく、買い物、通院、交流、介護予防を支える生活基盤の問題であることが明らかになった。他方で、新たな移動支援サービスの導入については、採算性、協賛事業者、会員確保等の面で地域単独では継続が難しいことも確認された。
- このため、分科会としては、新規サービス導入のみを目指すのではなく、歩行環境改善、ベンチ設置、買い物支援など、移動の負荷を和らげる現実的な手立てを積み重ねる方向へと方針を転換している。
- 今後は、市、社協、地域包括支援センター、大学等と連携しながら、移動支援を福祉、介護予防、買い物支援、地域づくりを横断する課題として位置づけていく必要がある。
【A委員】 分科会を取り組んでみて、「移動」が生活の基盤にあることが見えてきたとともに、採算性や制度の問題が立ちはだかり、実践が困難であることを感じている。
【B委員】 昨年度からの「ポニー号の減便問題」(日中は1時間に一本)は、「移動問題」の重要性をますます明らかにしたと思う。
【C委員】 白扇会の「地域コンシェルジュ」の中に、「お出かけサービス」、例えば、白扇会の町内会館での催しに「足が不自由で行けない」という声に、会員が配車サービスをすることを始めている。これが定着し、町内会全体でも「自家用車でサービスしてもいい」という動きがでるようになれば、この課題での当事者意識がもっと出てくると思う。
【後藤先生】域内の移動や交通の問題は、高齢化率が三分の一以上になった今日では、「弱者救済の問題」を超えて、例えば高齢化して車を手放しても、地域で快適に持続的に住み続けるための必須の要素(「Well Being」)と捉える時代だ。このことを、行政も交通関係者も理解する必要がある。
5 子育て支援分科会を通じてわかったこと
- 子育て支援の論点は、子ども会やイベントの維持だけではない。分科会は2018年の立ち上げ以降、2024年末までに55回の会議を重ね、全戸アンケートや保護者調査に基づき、子育てオープンハウス、オンライン企画、プログラミング教室、体験活動、子ども会支援等に取り組んできた。
- その結果、子育て世帯が求めているのは、ものづくり・体験活動、学びや見守りの機会に加え、安全な通学路・生活道路、公園や遊び場へのアクセス、安心して暮らせる周辺環境であることが明らかになった。
- また、鎌倉市においては、子どもを取り巻く環境が、学校、学童保育、塾(大船駅前)など制度化・専門化された場に比重を移しており、地域が子どもに関わる機会や役割は相対的に見えにくくなっている。これは一概に否定すべきことではないが、だからこそ地域には、イベントの実施だけでなく、安心して歩ける道路環境や遊び場、見守りや緩やかな交流の機会など、日常生活を支える環境づくりが求められる。
- 子育て支援については、郊外住宅地の居住環境水準の問題として位置づけなおす必要があるのではないか。今後は、まずは子ども会の負担軽減も含め、町内会、分科会、白扇会、NPO等が連携しながら、現代のニーズに合った子育て支援の仕組みを再編していくが、子育て世代の暮らしやすさについて、まちづくりとして取り組んでいく必要がある。
【B委員】町内では、一昨年度から「大平山」と「丸山」の両子ども会が休会となり、昨年度からは、町内会役員会の中に「こども連絡網(ライン)」をつくり、各種催しにも参加しやすいネットワークづくりに取り組んでいるようだ。
【E委員】昨年夏休みに、白扇会として「夏休み子ども応援塾」と題して催しを行った。提言案の中で「現代のニーズに合った子育て支援の仕組み」 とあるが、この「現代のニーズ」が見えない中での試行錯誤だった。今年度は、昨年度やった「甲虫展」に「実際の生き物飼育や野外観察」を組み合わせたり、ITに詳しい仲間による「みんなでスピーカーづくり」(電気・電波・磁気・音波)の取組みも考えている。
【D委員】半世紀以上前には、日本の至る所に「生業」の営みがあり、「地域での子育て」が普通だった時代もあったと思うが、都会では小生の世代ではそれも消え、30年近く前の小生の子どもの世代では、「これではやばい」ということで、当町内でも、カミさんたちが「子ども会」活動に熱心に取り組んでいたことを思い出す。とりあえずは、Eさん的な試行錯誤で行くほかはないと思う。
【C委員】これは、町内会館を使った「学童保育」的な取り組みなのかもしれない。
(参考)学童保育ふかふか | 認定NPO法人鎌倉あそび基地 『ふかふか』
こども里山一日体験 | 活動予定 | NPO法人山崎・谷戸の会
【B委員】地元の子どもたちとの関係では、共働き世帯が多い中で、災害が発生したときに町内会(防災)としてはどう関わるか、という問題を感じている。
【地域包括】深沢中学では、4年前から「地域防災」をテーマに、1年:地域調査👉2年:グループワーク
👉3年:避難場所づくりに取り組み、深沢社協や民生委員が関わっている。
(参考)深沢中 地域詳報「ハザードマップ」 生徒の独自調査を反映 | 鎌倉 | タウンニュース
深沢地区社協だより48号:chiku_fukasawa.pdf
6 郊外住宅地の新しいまちづくりの論点整理
必要なのは、個別施策の足し算ではなく、住み続けられる住宅地を支えるコミュニティ戦略の策定であると考える。その柱は次の3点である。
1 介護保険や福祉制度だけでは支えきれない日常の困りごとがある一方で、住民の善意や互助だけでも継続的な支援には限界がある。したがって、地域包括支援センター、社会福祉協議会、町内会、地域活動団体等が役割分担し、制度で支える部分と住民同士の支え合いで補える部分とを適切につなぐことが重要である。現状は、それぞれが別々の論理で動くだけである。
2 ウェルビーイングへの積極的な公的投資である。社会福祉としての地域での支え合いや助け合い は、多少であるが市の事業などがあるようだ。しかし、支え合いの仕組みだけを整えても、新しい互助は自然には動かない。ウェルビーイングを通じた日常的な信頼関係の蓄積が前提となる。したがって、サロン、カフェ、趣味活動、防災活動、交流イベントなどを通じて、住民同士が無理なく関わり合える機会を増やし、頼みやすい相談しやすい関係性を育てていくことにも、積極的な公的投資が重要である。
3 住民主導の取り組みに伴走するコーディネーターと拠点の重要性である。地域活動は担い手の善意だけでは継続が難しく、関係者の調整、情報共有、相談対応、活動の立ち上げ支援などを担う機能が必要である。したがって、地域の実情を把握しながら制度と住民活動をつなぐコーディネーターを配置するとともに、住民が日常的に立ち寄り、交流し、相談できる小さな拠点を確保することが重要である。
大平山丸山町内会は、役員の任期制などもあり、中長期的な住民主体のまちづくりの受け皿としては難しい。まちづくりに関心のある有志は多くいるが、事務局機能(会議室、ZOOM等の契約など)が無い。ここまで述べてきたような、まちづくりを持続可能な形で運営していくには、コーディネーター人材と拠点が必要である。
7 鎌倉市への提言
これまで本研究会は、町内会の特別委員会として進めてきたが、現在は大平山丸山白扇会(老人クラブ)として活動している。今後も町内会メンバー等による任意の研究会として、第二期の活動を続けていく。最初のワークショップから10年ほど経過しており、次の世代のメンバーを募集して、引き続き、まちづくりに取り組んでいく所存である。
しかし高齢化が進む住宅地は、大平山丸山地区だけではない。鎌倉市には、住宅、福祉、交通、子育て、地域福祉を縦割りで扱うのではなく、「住み続けられる住宅地を支えるコミュニティ戦略」として横断的に位置づけて、住民主導のまちづくりを伴走していただきたい。住民の自主性は重要であるし、できる限り進めていきたいと考えているが、自主性だけでは続かない領域に、行政がどう伴走するかを一緒に考えていただきたい。具体的には、次の5点を提言したい。
- 地域包括支援センター等との連携強化
地域包括支援センターが地元住民組織と連携して軽度要介護者等を地域の支え合い活動につなげられるよう、モデル事業等を通じて、包括支援センター側にも必要な費用を措置し、制度と住民活動の橋渡しを進められないか。
- 住民活動を支えるコーディネーター配置
地域のサロン、カフェ、見守り、子育て交流、移動支援、防災等の活動を住民任せにせず、地域資源の把握、担い手の発掘、関係機関との調整、モデル事業の立ち上げを担うコーディネーターを配置し、住民活動を継続可能な仕組みとして支えられないか。
- 小さくてもよい地域拠点の整備
住民同士の支え合いや交流が日常的に生まれるよう、既存の町内会館、集会所、公園、空きスペース等を活用し、高齢者の居場所、子育て世帯の交流、見守り、相談等を複合的に担う小さな地域拠点を整備し、地域の関係性を育てる基盤をつくれないか。
- 移動支援を公共的事務局機能とセットで検討
オンデマンド交通や支え合い型送迎の取組を単発の社会実験で終わらせず、運転手確保、利用調整、事故時対応、周知等を担う公共的な事務局機能をあわせて整え、市や公共的主体が核となって地域の移動支援を継続可能な仕組みとして支えられないか。
- 子育て支援を道路安全・公園・学校等の周辺環境整備と一体で推進
子育て支援をイベントや近居促進だけでなく、安全な通学路・生活道路、公園や遊び場へのアクセス、学校周辺を含む生活環境整備と一体で進め、歩車分離、見通し確保、速度抑制、危険箇所改善等を通じて、子育て世帯が安心して住み続けられる住宅地環境を整えられないか。
そして、
みらいふる鎌倉等を活用したシニア人材の地域参加の促進
鎌倉市には、経験、技能、ネットワーク、志を持ったシニアが数多くいることから、地域ごとの担い手だけに依存するのではなく、みらいふる鎌倉など市域レベルの老人クラブ組織も活用し、生活支援、見守り、子育て支援、居場所づくり等に参加できる仕組みを整えられないか。あわせて、老人クラブを単なる交流団体としてではなく、地域の支え合いを支える人材基盤として位置づけ直し、その潜在力を活かしていく体制づくりを提案したい。
【高瀬先生】以上の6及び7については、次回に検討をし、さらにまとめていきたい。 A委員主宰の「町内親睦会」が4月28日に行われ、そこでの話題提供が「まちづくり」ということ
でもあるので、その日以降に分科会を行いたいがよろしいか。
👉分科会出席委員、了承。
文責 1D 小林 淳


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